キャッシング用語

いつか満天の星空の下で

     copyright ©2003 -2017いつか満天の星空の下で all rights reserved

ボクとお月様

『ボクとお月様』

ボクは独りぼっち
満月の夜に
男の子に抱き上げられて
知らない街へ連れられて来たんだ

お父さんも お母さんも
お兄ちゃんもいたのに
ボクは違う家に住むことになったんだ

でもね
最初の頃はくすぐったいほど撫でられて
それなりに幸せだったんだよ
ある日、美味しそうなご馳走に手を出すまではね

だって
ボクは知らなかったんだもの

テーブルの上にあるものが
ご主人様たちだけの特別なご馳走で
床に置いたアルミのお皿のミルクしか
舐めてはいけないってこと

だから
ひょいって這い上がってみたんだ
いつだって
ボクのことを可愛いがってくれたから
優しく食べさせてくれるだろうって思っていたさ

それなのに 
凄いけんまくでご主人様のママって人が怒り出して
ボクは首根っこを掴まれて
一瞬に追い出されてしまった

小さなご主人様は泣いてくれたけど
ボクは許してはもらえなかった
クーンクーンって甘えても
誰も扉を開けてくれなかった

ドラ猫って言うんだね

知らなかったよ
ボクが
孤独なドラ猫になっちゃうなんて

ひとりぼっちなんてイヤだよ

お父さん お母さん
お兄ちゃん
何処にいるの?

あの日と同じ満月が
ぽっかりと空に浮かんで
ボクを見つめている

優しいのかな
お月様はボクを
好きになってくれるかな

「お月様
 お月様
 ボクの友達になってください」


夜空には
見事なほどに丸い月が
頷くように微笑んでいた






2005/
別窓 | 創作 | ∧top | under∨
| いつか満天の星空の下で |